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OK出さなきゃいいじゃん

あれはもう

2年以上前のことだろうか


すでに商業映画監督として活躍をしていた

ある女性監督が

自主映画時代に制作したという

作品の上映会に足を運んだ


それはデジタル作品ではなく

1時間程度の8m/mフィルム映画であった


8m/mフィルムといえば

フィルム代と現像代を含めれば

1分間でおよそ1000円くらいした


私も初期の7年間ほどは

8m/mフィルムで作品制作をしていた

その後、Hi-8テープ(アナログ)を経て

ようやくminiDV(デジタル)へと移行していく


それはさておき

その女性監督の作品上映会の後

彼女と彼女の撮影組との飲み会に参加

彼女の隣の席になった時のことだ


その日に上映された作品が

撮影に4年間もかかったと聞いていたので

「4年間の歳月をかけて凄いですね」

そう語りかけた


その語りかけに対して

その女性監督は

嘲笑しながらこう言い放った


「そんなの別にたいしたことないじゃん

 納得いかなかきゃOK出さなきゃいいじゃん」


初対面の私に対する

そのふてぶてしい態度もさることながら

そのシンプルな回答は衝撃的であった


彼女のこの当たり前の姿勢に

共感する監督は

山ほどいるであろうが

この姿勢を貫ける監督は

どれだけいるのだろうか


“Ben-Joe“の制作が始まって

5年ほど過ぎる


今や私も

あの女性監督のように

「1本の映画にこんなに時間をかけて凄いですね」

と言われることが多々ある


その投げかけに対する返事はもちろんこうだ


「そんなの別にたいしたことないじゃん

 納得いかなかきゃOK出さなきゃいいじゃん」


もちろんもっと丁寧な言葉遣いで

謙虚に答えるようにしているが


監督

岩松あきら



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